かつて東洋一と言われた選鉱場の廃墟-兵庫県・神子畑選鉱場跡-
兵庫県朝来(あさご)市。兵庫県北部、但馬地方の山間に位置する人口3万人ほどの町ですが、ここから北側の養父(やぶ)市にかけての一帯には、かつて明延鉱山が広がっており、古くは戦国時代から鉱石の産出で栄えてきました。明延鉱山で採られた鉱石は、朝来市の神子畑地区に専用軌道である明神電車(通称1円電車)で運ばれ、ここの巨大な選鉱場で選別されていましたが、1987年(昭和62年)の鉱山閉山により閉鎖されました。
ということで、こちらは朝来市の神子畑地区です。古風な洋館が建っているのが見えました。ムーセ旧居です。
こちらは生野銀山の外国人技師のために建てられたという住居で、明治5年頃の建築。明治20年に明延鉱山の開発により、この地に移設され、事務所などとして利用されたとのことです。貴重な明治時代初期の洋風建築物であり、近代化遺産にも指定されています。
内部には、明延鉱山の歴史などが紹介されていました。
そして、その外には、神子畑地区と明延地区を結んだ明神電車(1円電車)の説明が。その名の通り、乗車料金は閉山で廃止されるまで1円となっていました。
こちらが、その1円電車です。
こちらは展示だけですが、明延鉱山跡にある「あけのべ自然学校」では体験乗車会なども開催されています。探検坑道などもありますので、こちら側より観光地化していますね。
かつての神子畑選鉱場は、山の斜面を利用した22段の土台に建設された巨大な建築物で、上下は専用のインクライン(ケーブル)で結ばれていました。
その選鉱場の建築物は近年(2004年)まで残っていましたが、全て解体され、現在では巨大な22段の土台部分だけが残っています。
選鉱場の上下を結んでいたケーブルは、線路もそのまま残っていました。
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途中の離合部分です。長年の放置により、線路は無残に曲がりくねっていますが、通常のケーブルカーと同じ方式だったことが分かります。
神子畑選鉱場にはシックナーと呼ばれる巨大な分離装置もありました。
それが、こちら。巨大なコンクリート構造の異様な建築物です。
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その大きさは、ビルほどもありました。
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風化したコンクリート柱が、年月を感じさせます。
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この選鉱場は、明延鉱山で新たに発見された鈴鉱石の選別のため、1919年(昭和4年)に完成しましたので、100年近い年月が経とうとしています。
もう、この施設が利用されることはありません。
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朝来市の山中に残る、巨大なコンクリート建造物。
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明延鉱山の神子畑選鉱場跡でした。
神子畑選鉱場跡は、国道429号線沿線にあります。建物内部は立入禁止ですが、外側からの見学は自由となっています。ちなみに国道429号線は「酷道」としても有名な道。機会があれば、また、この道も訪ねてみたいと思います。
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