神戸に残る茅葺き民家-特別公開の内田家住宅と日本最古の千年家-
2012年夏。猛暑が続いています。7月31日の神戸市の最高気温は36.9℃。神戸市の7月の気温で、過去の最高記録は2002年7月24日の37.7℃であり、36.9℃は7月としては過去5番目の高温となりました。そんな猛暑の中ですが、今回は神戸市内の茅葺きの家へ。西洋風の近代文化都市、そして海と山に挟まれた港町のイメージが強い神戸市ですが、神戸市は六甲山の北から西へと広がる丘陵地の面積が非常に広く、ここには豊かな田園風景が広がっています。
ということで、六甲山の北側、神戸市北区です。ここは鈴蘭台西町6丁目。古そうな茅葺き屋根の住宅が見えてきました。これが兵庫県指定有形文化財の内田家住宅です。
内田家住宅は、通常は非公開ですが、月に数日ある公開日には無料で入場できます。ちなみに2012年8月の公開日は1日、4日、11日、25日の4日間。9月は1日、9日、15日、22日、29日の5日間の予定となってます。詳しくは神戸市のホームページなどでご確認下さい。
内田家の建築は江戸時代中期。今から250年前と考えられています。
この辺りは、当時は小部村と呼ばれていたそうで、この家は、周辺8地区を束ねる庄屋さんだったとか。
猛暑ですが、茅葺きの家の内部は、風も涼しく感じられます。
見上げた天井部分。茅が屋根からの熱を遮り、湿気も吸うことで湿度も下がり、夏でも快適に過ごせるとのこと。茅葺きの材料は、ほとんどがススキで、その厚さは60cmほどにもなります。
天井付近の木組の様子。これはオダチトリイと呼ばれる組み方で、同じ神戸市内にある日本最古とも伝えられる箱木家住宅と、ほぼ同じ構造。
5連式となっているカマドです。たち昇った煙が、屋根の防虫効果となりますので、煙突などはありません。
こちらはウマヤ。家の中に設けてあります。馬は家族と一緒に暮らしていたことが分かります。
近くの天井付近には籠もありました。
江戸時代の民家の工夫を今に伝える、神戸市北区鈴蘭台の内田家住宅でした。
一方、こちらは同じ神戸市北区、山田町衝原(つくはら)にある千年家(せんねんや)前です。千年家と呼ばれる箱木家住宅は、その名の通り大変古い民家。こちらは有料となっており、料金は300円。
全景は、こちら。正面の母屋と左手の離れに分かれています。民家として使用されていた時には、この母屋と離れをつなぎ、1つの家として改築して居住していたようですが、この地に建設されたダム湖である衝原湖に沈むことになったため、調査の上、70mほど移動して、元の姿に復元、保存されています。
室内は、こんな感じ。大黒柱といったような部分はなく、寸法の揃った柱を等間隔で立てて、建築しています。長く居住されていたため、色々な部分が手直しされ、初期の建材が残っている部分は限られていますが、古い民家の様式を見ることが出来ました。
築年代は不明な部分も多いものの、工法や規模などから14世紀頃と言われており、民家としては日本最古。国指定の重要文化財となっています。
こちらも内田家住宅と同様、茅葺きで、軒は深く、涼しさを感じることが出来ました。
数百年という古い茅葺きの家。衝原湖を望む千年家、箱木家住宅でした。
と2ヶ所の古い民家を訪ねましたが、神戸市北区には、こうした茅葺きの家が、今でもたくさん残っています。こちらは神戸市北区八多の八多ふれあいセンターに利用されている茅葺きの家。
近くにも、茅葺きの民家を見ることが出来ました。神戸市北区には、平成20年(2008年)時点で約750棟の茅葺きの家が残っているそうです。最近はトタン板などで防御されてしまったものも多く、茅葺きそのものを見ることは少なくなっていますが、これだけ多く残っているとは意外ですね。
西洋風のイメージとはかけ離れた純和風。神戸市内に今でも多数残る、北区の古い茅葺きの民家でした。
★神戸の話題は、こちらもどうぞ★
【神戸】の地域ネタ一覧(新しい記事順に表示します)
« 盆踊りの始まった神戸市内-東灘区・灘区- | トップページ | 2012年、第42回みなとこうべ海上花火大会 »
コメント