神戸に春を告げる風物詩-いかなごのくぎ煮(レシピ付)-
3月も中旬となりました。この時期、神戸市内や阪神間の住宅街を歩いていると、どこからとなく、醤油とみりん、そして生姜の混ざった、独特の香りが漂ってきます。これが、神戸に春を告げる風物詩「いかなごのくぎ煮」です。
ということで、垂水漁港にやってきました。ここには神戸市漁業共同組合があり、この時期は「いかなご」漁で、大変賑わいます。今年の解禁日は2月27日。資源保護の観点から、毎週日曜日は休漁日となっているため、その日は新鮮な「いかなご」を買うことは出来ません。
いかなごは、他の地方では「コオナゴ(小女子)」「シンコ(新子)」などと呼ばれる魚で、足が早い(痛みやすい)ため、水揚げ後の新鮮なもの程、味が良いと言われます。
この日も、垂水の商店街には新鮮ないかなごを買い求める人々の姿が見られました。体長は3cmから6cmほど。時期が遅くなる程、成長して大きくなっていきます。好みによって買う時期を考えるといいですね。
ちなみに、いかなごの「くぎ煮」は、こちら神戸市長田区にある食品メーカー、株式会社伍魚福(ごぎょふく)の登録商標となっています。登録商標となると、本来は商品名に無断で使用できませんが、いかなごの「くぎ煮」は地域に定着している名称ですので、会社としてはうるさくチェックしている訳ではなさそう。伍魚福は近年、経営革新などで兵庫県から賞を受けていることでも知られている会社です。
それでは、「いかなごのくぎ煮」の作り方です^^
今回は、神戸市東灘区在住のS.O.さんのご協力によりお送り致します。用意するものは、全部で6品。「いかなご」に「醤油」「ざらめの砂糖」「みりん」「酒」、そして「土しょうが」です。いかなご1kgでのレシピは下記の通り。
いかなご・・・1kg
醤油・・・200cc
砂糖・・・250g
みりん・・・60cc
日本酒・・・60cc
土しょうが・・・60g
砂糖は上白糖でも問題ありませんが、ざらめ(中双糖(ちゅうざらとう))を使われる方が多いようです。醤油は好みで変えると面白いですね。
それでは2kg分を用意して、スタートです。まずは「いかなご」をざるに移して、きれいに洗います。
洗い終わったら、しばらく水切り。
水を切っている間に「土しょうが」を皮つきのまま刻みます。
そして、醤油・砂糖・みりん・日本酒を鍋へ。
強火で一気に沸騰させます。ここまでに換気扇を入れるのを忘れずに(笑)
沸騰したら、少しずつ「いかなご」を鍋へ。沸騰するタイミングに合わせて少しずつ入れていきます。一気に入れると、団子になってしまうので注意が必要。また小さい「いかなご」はすぐに形が崩れてしまうので、焦らず慎重に。
時折、しょうがを忘れずに混ぜ込みます。
鍋いっぱいになりました。最初から、ここまで約25分です。沸騰したら「アク」を取っていきます。そして、ここまで絶対に「いかなご」をかき混ぜたりしてはいけません。
あとは、ひたすら待つだけ。
だんだん、水分が少なくなってきました。
どんどん色が濃くなっていきます。沸騰してから、ここまで水が減るのに、強火のまま、実に45分が経過。最初からは1時間10分経ちました。そして、ここからが最大の山場です。
一気に、中身をひっくり返します。
火を中火に落として、何度も中身を回しながら、焦げる寸前まで煮込みます。2kgでつらい場合は、1kgずつ分けて作らなくてはいけません。
そして、ついに完成ーO(≧▽≦)O
広げて、残った水分を飛ばします。
★↓写真をクリックすると拡大表示します↓★
伝統の味、いかなごのくぎ煮が無事に完成しました。沸騰を始めてから、ちょうど1時間。最初からでは約1時間30分での完成でした。神戸周辺に春を告げる伝統の味として、各家庭で作り、贈る風習があります。
出来たての味は、最高^^
暖かい春はもうすぐそこ。神戸、いかなごのくぎ煮でした。
★★ご協力頂いたS.O.様、ありがとうございました★★
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コメント
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イカナゴ漁が始まると阪神間の人間に取っては春の訪れを実感しますね。今年も私は釘煮を作りました。イソシズさんブログのレシピとほぼ同じですが、私は落し蓋を使ってます。
投稿: Y・M | 2012年3月22日 (木曜日) 17時12分
Y・Mさん、こんばんは。
いかなごの美味しい季節となりました。住宅街の路地に醤油の匂いが漂って、季節の訪れを実感します。今回は、東灘区在住の方のご協力を得て、作り方を紹介致しましたが、それぞれの家庭で微妙に、味付けや作り方に違いがあるようで、それが「いかなごのくぎ煮」の奥深い魅力なのかもしれませんね。
料理はほとんどテーマ外なのですが、また何か取り上げてみるかも知れません~^^
投稿: いそしず | 2012年3月25日 (日曜日) 23時53分