六甲山ハイキング・「徳川道」石屋川-杣谷峠-鈴蘭台
6月12日、朝から快晴に恵まれました。ただ、この晴れも今日まで。いよいよ明日からは梅雨入りとなりそうな気配です。
阪神電車の石屋川駅から北にすぐ。ここに徳川道起点の案内板がありました。徳川道は江戸時代の街道だった西国街道の迂回路で、神戸に開かれた外国人居留地での外人との摩擦を避けるため、幕末に急遽建設された幻の街道です。全体では明石の大蔵谷で再び西国街道と合流するまでの約34kmの区間で、六甲山を越える部分が比較的よく残っています。という訳で、さっそく六甲山へと向かってみました。
★参照★西国街道 神戸三宮→芦屋
すぐに御影公会堂が見えてきました。昭和8年の建築で、火垂るの墓の舞台としても有名ですね。
タイトルとカテ違いですが、ちょっと中へ寄り道。地下には知る人ぞ知る、老舗の公会堂食道が営業中。平日はランチ(11:00~14:00)のみ、土日祝はランチに加えて、ディナー(17:30~20:30)も営業します。定休日は火曜日。ここでの定番は、なんと言っても「オムライス」ですね。
北へ進むと、JRの高架をくぐる部分に日本で最初の鉄道トンネルの記念碑がありました。大阪-神戸の鉄道開設は明治7年。日本で最初の鉄道、新橋-横浜が開通したのが明治5年ですから、わずか2年後です。しかし神戸の石屋川は天井川となっていたため、日本で最初の鉄道トンネルが建設されました。
こちらが、その石屋川隧道のあった場所です。正面が石屋川の堤防。上は高架橋となっている現在のJR線です。並行している道路は現在でもトンネルで石屋川をくぐっていますが、こちらも実は高架になるまで使用されていた鉄道の跡です。東灘区の住吉川では、現在でもJR線が川の下を通過しています。それにしても、日本で最初の鉄道トンネルが山のトンネルではなく、川をくぐるトンネルだった、というのは意外ですね。
寄り道が多くなりました。本題に戻ります。石屋川を離れると徳川道は一路西へ。住宅地の中を一直線に進んでいきます。
六甲八幡神社に到着しました。
ここから阪急六甲駅を越えて護国神社付近に至るまでの区間は、住宅地の中に入り込んで徳川道としてのルートは判然としなくなります。
護国神社を越えると長峰中学校へかけて、激しい急坂が続いていきます。住宅地としては市内でも屈指の急坂、「長峰坂」です。日陰もなく暑さは倍増。。。
中学校を過ぎて、堰堤の見える谷筋に入ると、やっと道は木陰のある山道へ。出発した石屋川から約4kmを寄り道しながら1時間30分で到着しました。いよいよ、ここから杣谷(そまだに)峠へ向けて登山開始です。
いくつもの堰堤を越えながら進む登山道です。堰堤の上流側が土砂で完全に埋まって、このように上部に近付けるものも。
反対に真下に立てるものもあります。カーテンの幕のように流れ落ちる水がとてもきれいですね。川の流れと何度も絡みながら、次第に高度を上げます。
徳川道の案内板もありました。
神戸の街を見下ろして。
堰堤部分を急坂で越えては緩やかな川筋を行くパターンを繰り返しますが、最後は次第に階段が多く続く道へと変わっていきます。一部、河原を直接登る部分もあったりしますが、単調な階段道が延々と続く道は体力消耗も早く、適度な水分補給と休憩が望ましいと思います。
そして階段にも飽きてきた頃、古い切り通しのような場所へ。。。標高約620mの杣谷(そまだに)峠に到着しました。出発から約6.2kmを2時間30分での到着です。
目の前に走る道路は、六甲全山縦走路で通ったところです。ここには休憩施設もありますので、一息つくには最適ですね。
杣谷(そまだに)峠を後に、更に徳川道を進んで行きます。すぐに現れたのは山上の湖、穂高湖。とても澄んだ水をたたえていました。
徳川道の標識がありました。右に伸びる道が徳川道。奥の石碑には「すぐまや」と刻まれています。摩耶山を指しているのでしょうか。確かにそう離れていませんが、「すぐ」というのは「まっすぐ・直進」の意味かも知れません。
徳川道時代の石積みを示す案内板です。
茂みの中に、石積みのようなものが残っていました。
しばらく行くと又ヶ谷経由との分岐があります。この先、徳川道はトウェンティクロス方面から森林植物園内を経由しており、ここは入場料が必要です。今回は入場料の必要としない又ヶ谷経由で森林植物園をパスしてみることにしました。こちらのルートも徳川道ハイキングコースとして指定されています。
★森林植物園からトウェンティクロスへはこちら★
しばらく山道の登りを頑張ると、西六甲ドライブウェイに出ました。森林植物園の正門を左手に見て、歩道を歩いていきます。杣谷峠から約4kmの地点です。
車道をしばらく進むと神戸弘陵学園高等学校の門がありました。実は、この門の右手に徳川道の石碑が。この門の右側を通り抜けて、徳川道は再び山の中へと入ります。
しかしこの区間の徳川道は通る人がほとんどないためか、ひどく荒れており次第に道も判然としなくなって、ハイキングコースとしては完全に不適です。
最後はヤブこぎ状態に。この先は追跡不可能です。
ヤブこぎを途中であきらめ、となりの広い道に脱出しました。徳川道はすぐ右側の雑木の向こう側を、この道路と並行していたようです。左手に見えている駐車場は有馬街道温泉「すずらんの湯」のもの。ここで疲れを癒して帰ります。
そして出発した石屋川から、ちょうど6時間後の午後5時30分、神戸電鉄の北鈴蘭台駅に到着しました。温泉での1時間を除くと、石屋川からの約13kmを5時間かけての到着です。六甲山を横断する部分も、堰堤などでコースが変わったり、石垣が崩れたりと、当時の街道をそのまま残す部分は案外少ないのかも知れません。しかし幻の街道と言われながら、ハイキングコースとして、その存在を現代に確かに伝えていた、六甲山の徳川道でした。
★鈴蘭台から白川台への続きは、こちら★
★六甲山関連はこちらもどうぞ★
摩耶山登山 (青谷道-旧摩耶道-摩耶山-全山縦走路-市ヶ原)
★六甲全山縦走大会はこちらをどうぞ★
« 整備の進む新長田駅周辺と第27回くつっ子まつり | トップページ | 雨の六甲と高山植物園 »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
いそしず様
今日は雨の中御付き合いいただきありがとうございました。神戸にはたくさんのハイキングコースがあるようですね。堺周辺の遊歩道やハイキングルートも調べてみないといけませんね。
投稿: ころぼっくる | 2010年6月13日 (日曜日) 17時57分
ころぼっくる 様
本日は、こちらこそありがとうございました。ブログ掲載のものはコンパクトデジカメで撮影したものだけですので、後日、機会があればフィルム一眼レフで撮影したものも掲載できればと思っています。
本来北のほうに生息する高原の植物が育つのは六甲山ならではですね。雨の植物園も、またいいものだと再認識できました。登山も頑張りたいと思います^^
投稿: いそしず | 2010年6月14日 (月曜日) 00時08分