2010年 東大寺二月堂「お水取り」
寒暖の差が激しい日が続いています。3月11日は六甲山も雪化粧となっていましたが、寒さは次第に緩んで、また暖かさが戻ってきたようです。そんな3月ですが、現在、奈良の東大寺二月堂では毎年恒例の修ニ会[しゅにえ]が行なわれています。3月1日から14日まで。「お水取り」として全国的に知られる行事となっています。
ということで奈良の東大寺にやって来ました。写真は国宝の南大門。鎌倉時代、1199年の再建です。修ニ会、お水取りの行なわれるニ月堂は、この先の大仏殿の東側にあります。列に続いて二月堂へと向かってみました。
鏡池の向こうに見る中門と、奈良のシカです。
二月堂前は、すでに人でいっぱいでした。ただ、すごい数の警察官で警備されており、皆、押し合わずに行儀良く並んでいるのが救いです。立っている空間にも十分余裕がありました。あっという間に境内は埋まって、後ろへも長蛇の列となっていきました。
「おたいまつ」は1日から14日まで2週間毎日行なわれていますが、中でも12日の晩が一番混雑を極めます。境内は狭く限りがありますので、後ろの方となった人は見ることが出来ない可能性もあります。
「気分の悪くなった方はいませんか~」
警察官の声が響きます。長時間の待ち時間の間、いろいろな説明と共に、気分を和ます冗談も入って、会場は笑いに包まれました。開始直前に境内の照明が消えるので、注意するよう放送があります。
そして19時30分前、突然照明が消え、場内はどよめきと歓声に包まれました。松明はすぐには上に姿を見せず、ちらちらと炎が見える度に、ざわめきが起こります。警察の人が、松明が上がるのは、お坊さんを案内して終わったあとやから慌てないよう、説明を続けていました。
「そんなに背伸びせんでも、これから十分見えるから」
と更に笑いを誘います。
そして遂に1本目と2本目が上がりました。大歓声に包まれた境内は、異様な興奮に満ちあふれます。2本目が上がっても、人々の列に動きはなく、警察官の誘導に従って下さい、の声が大きく響いていました。
境内に再びライトが照らされ、誘導に従いながら非常にゆっくりと前進を開始。松明が残っているうちに、なんとか二月堂の下までやってきました。本日の松明は11本ですが、この位置に来るまでに、すでに20分以上が経過しており、もう8本目まで進んでいます。
8本目と9本目。何とか間に合いました。左から右へと移動しながら、火の粉を振りまいて行きます。
真下に来る頃には9本目と10本目に。
「お水取り」は、平城京の時代から1200年以上、毎年欠かすことなく行なわれてきた行事です。兵火で東大寺の大半が焼失した時でも、不退の行法として欠かすことなく続けられてきました。
12日の晩(13日の未明)には、松明を照らしながら閼伽井屋(あかいや)へと向かい、香水を汲む行事が行なわれます。これが名前の由来となった本来の「お水取り」です。
更に火の粉が降ってきました。火の粉の下を通れば、病気を取り除き無病息災。「お水取り」は天下泰平、五穀豊穣を願い、人々の幸せを祈った奈良時代の伝統を今に伝えています。
11本の松明は、あっという間に終了。残念ながら見られなかった人も多かったようです。本当に長時間、お疲れさまでした。
2010年、平城遷都1300年の奈良に春の訪れを告げる、東大寺二月堂のお水取り(修ニ会)でした。
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