阪神なんば線 開通から1週間
阪神なんば線が、先日3月20日に開通しました。
元西大阪線の終点西九条から近鉄難波駅までのわずか3.6kmの区間ですが、関西の鉄道事情を変えるとも言われる新線の開通です。阪神西大阪線(西九条-阪神尼崎)を含めた近鉄難波-阪神尼崎が阪神なんば線となり、阪神電鉄と近鉄は大阪ミナミ難波で接続。近鉄難波駅は大阪難波駅と名を変え、阪神三宮-近鉄奈良間で快速急行の直通運転が始まりました。奈良・難波・三宮、新三都などとも言われ、早くも開業ブームが来ているようです。
ということで、開業1週間の様子を見てみました。
↑阪神今津駅の運賃表示。赤のラインが近鉄線。
阪神電鉄の駅では、運賃表も新しくなり、新たに赤色で近鉄線が表示されるようになりました。奈良線は全線表示されていますが、大阪線は桜井までです。近鉄線は名古屋までと広いので、全線載せる訳にはいかなかったのでしょう。もっとも、難波から先の近鉄線の運賃は、阪神線の運賃にそのままプラスとなるので、難波で降りて買いなおしても一緒です。
駅には、巨大な広告が掲げられていました。このような広告は、いたるところにあって、今回の新線開業に対する期待の大きさを物語ります。今回の直通は奈良-三宮のみですが、近鉄は伊勢・志摩・名古屋まで路線を持ち、対する阪神は西は姫路まで山陽電鉄と直通特急を走らせています。つまり、阪神なんば線開通により、名古屋から姫路まで標準軌の鉄路が1本につながったことになります。近鉄の社長は、数年後には伊勢・賢島-姫路に特急を走らせたいと述べており、実現すれば走行距離250kmを超える、私鉄最長特急の誕生となります。
甲子園では、快速急行三宮行きが近鉄車両で到着。開通1日後の21日でしたが乗客で満員です。阪神線内で見る近鉄車両は新鮮としか言いようがありません。難波に向かう快速急行は阪神車両でしたが、こちらも満員でした。
尼崎から西九条までノンストップで、ここからの新線区間は各駅に停まります。次の九条駅手前までが地上区間で、途中安治川を越える橋がかかっていますが、この橋の部分以外は、背の高い半透明の防音壁に覆われていて、外を見ることはできません。九条から先が地下になります。ドーム前、桜川、次がもう大阪難波です。乗務員は、この大阪難波ではなく1つ手前の桜川で交代となっていました。
近鉄特急も見える大阪難波駅に到着します。従来行き止まりだった難波駅に反対から到着するのは新鮮な感覚です。車内でも、新線の話題でもちきりでした。それにしても、大阪ミナミが近くなりました。三宮からだと約40分で400円です。
↑阪神なんば線の運賃表。(3段中1番下が運賃)
難波で驚いたのは、乗客の減少も予想される市営地下鉄なんば駅のホームにまで、阪神なんば線の開通ポスターや看板で埋め尽くされていたことです。ホームの柱という柱に阪神なんば線の巨大な広告が巻かれ、真弓監督一色なのには、びっくりしました。
↑近鉄と阪神が乗り入れた近鉄難波駅は「大阪難波」に改称。
1週間たった29日に奈良まで行きましたが、まだかなりの乗車率でした。近鉄線内を阪神の電車で走るのも特異な感じで、車窓もなぜか新鮮に感じます。特に近鉄はこれまで他の鉄道会社との乗り入れがほとんどなく、牙城とも言える状態だったため、新鮮さが増す感じです。ところで、阪神の車両は近鉄と比べて長さが短いため、同じ両数でもホームの扉の位置がずれてしまいます。このため近鉄と阪神の各駅では、足元の乗車表示を○と△で変えて案内するなどの工夫がみられました。
写真は、奈良平城宮跡公園の朱雀門と阪神1000系電車です。
関西では阪急と阪神が合併したことも記憶に新しいですが、この近鉄と阪神の相互乗り入れも、うまくいくといいですね。三宮と難波、また奈良への需要がどの程度かは未知数ですが、新たな人の流れを生み出しそうです。阪神電鉄では梅田と難波、どちらからでも使える「大阪どっちも定期」が発売されたりもしています。
問題としては難波から三宮への快速急行の最終が極端に早いことです。平日でも20時33分、休日では19時34分です。その後は、全て尼崎での乗り換えとなります。開通でお祝いムード一色ですが、需要的に必要ないとみているのでしょうか。ちなみに、22日(日曜日)に難波から尼崎行きの普通列車に乗ってみたのですが、20時台にも関わらず乗客は本当に数えるほどで、びっくりしました。阪神本線でも普通列車はガラガラですから、こんなものかも知れませんが。
戦前から計画されていたという阪神なんば線。今後の動向が楽しみです。
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